WTF Japanese Transcript 7

写し

  

1.7 レベルとホリゾンタル

 

 さて、これまでにコミュニケーションにおける効果的な身体の使い方、相手との位置関係、姿勢などについてお話してきました。 ここでは、高さや空間、距離といったものがどのようにコミュニケーションに関わってくるかについて説明していきます。

 一つには制御された環境でお互いに面と向かって立ちながらコミュニケーションをとるような場面があります。しかし実際にそのような状況がどの頻度であるでしょうか。

 日常生活の中では、おそらくテーブルに座って会話をしたり、あるいは休憩室や食堂で並んでいる間に立ちながら話したりすることがよくあるでしょう。時には部屋の反対側から相手に話かけるときもあるかもしれません。自分よりも背が高い人、背が低い人、自分よりも身体が大きい人や小さい人と、その中でも社交的な人または内気な人、様々な人と対面することがあります。時には、舞台上から観衆を見下ろしたり、同僚や従業員を前に話さなくてはいけないこともあります。

 このような様々な状況は、これまでのエピソードでお話ししてきた体の使い方、相手との位置関係、体の向きや、姿勢がコミュニケーションにどのように働くかに影響します。

 

 

 レベルとは、他の人や物に対して身体が垂直方向に占める空間と考えてください。例えば、立っている人は、椅子に座っている人や横になっている人とは異なったレベルを占めています。ただし、これは立っているか座っているかだけのことではありません。ステージ上に立っている人は、観衆の中に立っている人とは別のレベルにあり、身長190cmの人と165cmの人では異なるレベルを占めています。背の高い男性が座っていれば、背がそれほど高くない私は、彼と同じレベルにあるということもあります。

 ホリゾンタルは、体が人や物に対して水平方向に占める空間のことです。プレーンというのは身体の前後の空間のことをいいます。ホリゾンタルは左右に移動する横方向への動き、つまりプレーン上でどの横位置を取るかということです。

 レストラン内のブース席に座っている二人を想像してみてください。テーブルを挟んで向き合った二人を背後から見た場合、二人はお互い真正面を向いて、体がフルフロントポジションの状態で、同じホリゾンタル上に位置していますが、それぞれ異なったプレーンを有しています。横に並んで座った場合は、同じプレーンをとっていますが、それぞれ異なったホリゾンタルに位置していることになります。

 座標グラフで考えてみると、横に伸びているX軸はホリゾンタルで、上下に伸びるY軸がレベル、前後に伸びるZ軸がプレーンということになります。グラフ上で考えるのはちょっと難しいかもしれませんね。ここでは単純に上下、前後、左右と表現することにしましょう。

 

 

 では、まずレベルについてお話します。レベルの基本は、縦方向に注意を向けるということです。

大抵の場合、頭の位置を確認することによって相手が占めているレベルを決定づけることができます。逆立ちしている場合を除いては、頭は人が身体が占める空間の一番高いところにあります

 立ったり、座ったり、ひざまずいたり、横たわったりすることで、とっさにレベルを変えることができます。時には、建物の構造、あるいは地形によってレベルが決まることもあります。建物の多くは、人為的に作り出したレベルによってある特殊な効果を生み出すように設計されています。劇場、公共ステージ、表彰台、教会、シナゴーグ、モスク、法廷などの建物は人々の注意を引き、注目を集めるためにレベルとホリゾンタルの機能を考えて設計され、一体感や分断の度合いを通して、特定の情報を伝達することができます。

 ちょっと法廷の様子を想像してみてください。裁判官席は法廷のどの場所よりも高い位置にあります。裁判中、検察官や弁護士は立ったり座ったりしてレベルを絶え間なく変えるところ、裁判官はずっと座ったままです。証人台は、被告人席より高いところにありますが、それでも裁判官席からは1段2段下がったところにあります。この特異な位置関係では、法廷の設計の仕方によって、ある権限を裁判官に与え、その空間に存在するすべての人物と一線を画しているのです。裁判官は、法廷の中で特別なレベルを占めているのです。誰もそのレベルを共有することはできず、それによって象徴的な分離が生じます。裁判官の視線は、弁護士、検察官、被告、証人などに下がり、彼らの視線は裁判官に向かって上向きになることになります。

 さて、続いては劇場でのコンサートに行ったとしましょう。パフォーマンスは、高く作られたステージで行われます。そのため、演奏者と観客が分離された状態になります。アーティストが舞台から降りて観客の間を練り歩くような公演行ったことがあるとすれば、アーティストが観客とレベルを合わせるようにしたときの雰囲気は全く違ったものになる事がわかると思います。

 レベルを戦略的に利用するための鍵は、いつレベルの格差を創るかまたは無くすかということです。共感できる経験をつくりだしたい時は、自然と相手と同じレベルに自身を位置づけるのが普通です。

 子供と遊ぶときに子供のレベルまで腰を下げたり、全員がそろって椅子に腰をかけてから食事を始めたり、チームメートが負傷したときは、そのプレーヤーの回復を膝をついて待ったりするということがあります。アナウンサーが聴衆に「皆さん、立って下さい」と言うとき、 そこに存在する人全員で共通の経験を生み出すために意図的にレベルに変化を与えているのです。また、このレベルを用いて個人をグループから分離し、共通の場面を意識的に一個人が注意を引くような場面へと変化させることもできます。結婚式で乾杯の音頭を取るとき、会議で自己紹介をしたり、表彰台に上がって表彰を受けるような場面がそれです。

 オリンピックにみられる壇がいい例です。表彰台は金、銀、銅の3つの異なった高さの台があり、第四のレベル、つまりメダルには届かなかった参加者と観客が共有しているレベルとは一線を画しています。例えメダルの色がなくても、それが序列を表しているのは明らかです。表彰台は群衆から3人のメダリストを分離し、メダリストの中でも異なったレベルを用いることによってそれぞれの序列地位を明確に示しています。この4つの高さの違いから全体像が容易に把握できるようになっています。しかしホリゾンタルからはそれ以外にも得られる情報があります。それについては、このあとすぐに。

 

 

 ここで議論する技術や原則の多くは、演劇の世界から引用しています。そうした技術や原則は演劇以外のことにも当てはめることができますが、舞台上での効果を例にとって、こうした技術をどのように活用することができるのかはこれまで話すことはありませんでした。ホリゾンタルの概念は、その舞台上における活用方法を理解することで、より深く理解することができます。

 では早速、3つのタイプの舞台構成についてお話しましょう。ホリゾンタルに加えてプレーンについても取り上げ、さらにプレーンとホリゾンタルの関係についても話していきます。

 まずは最も一般的にみられる舞台形式、プロセニアム形式です。プロセニアム·アーチという舞台前面の額縁状の枠に舞台を収めた形式で、客席と舞台とが向かい合う形になっています。舞台は高くなっているかもしれませんし、そうではないかもしれません。客席は舞台と同じレベルのフロアか傾斜がある階段状になっています。典型なプロセニアム形式の劇場では、観客席は舞台に対して正面を向くように設置されていますが、ときに少し内側に湾曲して向いていることもあります。

ほとんどの劇場、オペラハウス、映画館はこのタイプの様式を採用しています。

 ここでは舞台を9つの格子状に分けることができ、舞台から観客を見たときのそれぞれの呼び方があります。まず中心の部分をセンターステージといいます。センターステージから水平に広がった左側パートをセンターレフトと呼びます。センターステージの右側のパートをセンターライトと呼びます。あなたがセンターステージに立っているとして、聴衆に向かって前進すると、その部分はダウンセンターと呼ばれます。観客から遠ざかるようにセンターステージからそのまま後方に移動する部分はアップセンターと呼ばれます。アップセンターとダウンセンターからそれぞれ左右に動くと、アップレフト、アップライト、ダウンレフト、ダウンライトなります。

 役者が舞台上を移動するとき、観客とこれらの立ち位置が一定の基準になります。中央からの前後移動にも、中央からの横方向移動にもそれぞれの視覚的効果があります。プロセニアム形式の舞台では、観客からは横方向の動きがよく見えます。これは観客の焦点をどこに向けるかに関係してきます。ダウンレフトに位置するときと、センターステージに位置するときとは視線の集め方が異なります。プレーンやホリゾンタルに変化を加えることで観客との関係が変化します。センターステージから観客へ近づくようにダウンセンターに動いたり、観客から遠ざかるようにバックセンターへ戻ったりとプレーンを変えることで与える印象が変わるのです。このことは、両者から見える基準となる境界線が明らかであるため、観客にも役者にも簡単に理解できるでしょう。プロセニアム形式では舞台は劇場内すべての座席から正面に見えます。前後、左右の動ききはよく見ることがきますが、これはスラストステージ形式ではそういきません。

  スラストステージは、舞台の三方を客席が囲むような舞台形式のことです。これにより、ホリゾンタルとプレーンの認識が複雑になります。スラスト形式の舞台もまた9つの部分に分けることができますが、劇場内のある客席から横方向の動きとして見える動きが、別の客席からは前後の動きとして見えます。役者は、ある方向の観客席に対して、プロセニュウム形式の舞台と同様の意識の向け方で動くことができますが、観客の座っている席の位置によってはアップステージ、ダウンステージと見えるものが、他の席からはレフト、ライトの動きとして見えることになります。役者が体の方向を変えると、ある観客はプロファイルポジションを見るところ、別の観客はフルフロントを見て、またその他の観客はフルバックポジションを見ることになります。スラスト形式の舞台で役者を演出するには、舞台上への異なる視線を意識した演出技法を十分に理解しておく必要があります。 

 こうした概念がどのように実際の私たちの生活の上で役立つのか考えることができます。ただし大きな違いは、実際には基準が絶え間なく変化するということです。またアリーナステージと呼ばれる形式では、ステージの四方をぐるっと客席が囲むようにできています。ここでは、プロセニウム形式の舞台、観客、舞台上の分け方の基準を当てはめることはもうできません。

 その代わりとなるのは、その場の役者によって決められた基準点です。観客はそれぞれ異なった角度から舞台を捉えるため、アリーナステージ上の役者は、観客との位置関係に基づいてその見え方を変えることはできません。前後左右どのように動くかは、その場のすべての状況、つまり役者やその他のすべての要素に応じて決まるのです。

 

 

 さあ、私たちの生活にはどの舞台形式が当てはまると思いますか。全てでしょう。それはあなたがどう基準を定めるかに左右されます。

 私たちは普段の生活の中で建物の状況や環境的要因に影響を受けて、方向付けされた状況に多く出会します。群衆に向けて話をしたり、プレゼンテーションをするときはプロセニアム形式、またはスラスト形式と取ることが多いでしょう。焦点をどこに向け、どう向けさせるべきかは明確です。混雑したバーやパーティーでは、アリーナステージ形式に似た状況を当てはめることができます。人々が自分の周りのどこにでもいるので、あなたは固定的な基準軸を持たない状況の中で行動することになります。

 前回までのエピソードでは、体の使い方、つまりラインフォーカス、オリエンテーション、プレーン、フレーム、スタンスの概念を紹介しました。それらによって、人々が自分の回りにいる中でのコミュニケーションにおいて、相手と自身の体の使い方がどのように機能するかは容易に認識し理解することができます。相手はどこに意識を向けているのか。その方向をコントロールするために、体の向きをどのように使っているのか。情報を与えたり受け取ったりするときに、どのようにプレーンを変えているのか。体の保ち方として、その重心は話に耳を傾けるようになっているのか、あるいは注意を逸らすようになっているのか。体はバランスがとれた状態になっているかといったことです。しかし、ホリゾンタルは少し複雑です。それはホリゾンタルを2つの全く異なる方法で解釈し、使うことがあるためです。

 それはどういうことかというと、一つは、プロセニウム形式舞台とその舞台上を9つに分けた線を考えて、それを基準として自分の位置を決めることです。この場合、横方向の動きは固定された視点で捉えることができます。ここで難しいのは、私たちは常に二つの基準から見るホリゾンタルを同時に使っているということです。

 例えば、あなたは部屋の東の角に立っているとします。そこにはドアがあります。あなたから見ると、ドアはホリゾンタル上の左側にあります。しかし、体の向きを変えると、ドアはもうあなたのホリゾンタル上にはありません。あなたの左側には窓があり、東の角のドアはあなたの背後に位置することになります。あなたから見ると、ホリゾンタルは常に変化しています。しかし、ドアは東の角にあることは変わらず、部屋に対してのホリゾンタルが変わることはありません。個人からみるホリゾンタルと周りの環境からみるホリゾンタル両方があなたの判断の基準になるのです。

 

 

 いつもはまとめを持ってエピソードの締めくくりとしますが、今日は代わりに、ちょっとしたエクササイズをして終わりにします。

 生活の中で、自分からみる個人的なホリゾンタルと周りの環境を基準としてホリゾンタルがどのように変化し、移行しているのかぜひ考えてみて下さい。あなたの置かれる状況が変わるとき、それは今日お話した3つ舞台形式のどれに当てはまるのか考えてみて下さい。

 視線の向け方や境界線が明らかなプロセニウム形式なのか。時に状況が基準がはっきりしているプロセニウム形式からアリーナ形式に変化するかもしれません。

 まず相手との位置関係を考えましょう。そして日常生活やコミュニケーションにおいてレベルがどのように用いられているか考えてみてください。

 レベルにも注意を払ってください。日常生活においてレベルがどのように用いられているか気をつけてみて下さい。意図的または非意図的につくられたレベルがどのように影響しているかに気が付くはずです。意図的に感じるものについては、なぜか考え、あなたと周囲の人々が物理的な条件としてのレベルの設定をどのように意識して行動するか、また、様々な社会的慣習におけるレベルの使われ方についても考えてみましょう。

 コミュニケーションのあらゆる側面におけるレベルとホリゾンタルの働きを理解することで、高さや空間、距離を用いて、言いたいことをより明確に伝える能力を養うことができます。そして重要なことは、コミュニケーションが行われる場面で自身の限られた状況を理解することで、状況を見極め、その場をどのように乗り切るかを考えることができます。覚えておいていただきたいのは、レベルとホリゾンタルが相手との間に分離感を創り出すか、またはそれを無くすかを決めているということです。

 

  

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写し 1.6 フレームとスタンス

写し   1.6 フレームとスタンス   このエピソードでは、フレームとスタンスについて話していきます。ここで言うフレームとは体の主要部分、あるいは全体としての体自体を示し、スタンスとはそうした部分をどう使うかということです。立ったり座ったりするときの体の各部分の状態とそれが体の方向やプレーンとどのように関係しているのかを説明していきます。   フレームとスタンスは切っても切れない関係にあります。フレームとは体の構造のことを示し、スタンスとはフレームをどう使うかということです。立ったり、座ったり、前のめりになったり、もたれかかったりするというのは、それぞれ異なった体の動きであり、そのためには異なった体の使い方、つまりスタンスを必要とします。体を動かすとき、私たちは体の各部分をどのように使うのか意識することがあります。子供の頃、親や教師に姿勢を正しなさいと注意されたことがありますか。踊りや、あるスポーツをするときの体勢のとり方を学んだ人もいるでしょうし、楽器を演奏する時に、どのように楽器を持って演奏するかについて特別な訓練をしたことのある人もいるかもしれません。 私たちが何らかの行動をする時に、それに適した特定のスタンスあるいは姿勢をとることは難しいことではありません。しかし、日常生活において体がどのように動いているかを意識することは無いに等しいと言えます。フレームとスタンスに意識を向け、それを一種のスキルとして、目的に合わせて使うことはそんなに難しいことではありません。そのことを理解すれば、コミュニケーションをする上で私たちの意思をより良く伝えるために、体のいろいろな部分をうまく使うことができるはずなのです。   私たちの体の使い方には個性が存在します。歩き方ひとつをとってみても、自身の特性にあったように体を動かしますし、椅子に座るときも自分が楽になれる姿勢をとるでしょう。そうした姿勢をとるときは、特に考えることもなく自然に体が楽なようにするでしょう。ところが、手や足、頭、胴体への力の配分が非言語コミュニケーションの一部であると認識すると、どのように体を使い、目的に合った姿勢をとればよいのか理解し、それを実行することができるのです。 この力の配分はフレームのどの部分がベースになっているかに左右されますが、安定を得るためのベースは決して足だけではありません。そしてそのベースは体の動きそのものと、体がバランスをとるに重要や役割を果たすのです。 私たちが体を動かすとき、バランスはベースを中心に動き、ベースと膝、頭、胴体、肘や手の動きが、体全体のバランスをコントロールする働きをします。 簡単な例として、漫画に出てくるようなボディビルダーの絵を頭に描いてみてください。しっかりとした筋肉質の胴体から下をみると、足元にかけて細くなり狭いスタンスがとられています。実際のボディービルダーの姿とは違って、おもしろく描かれています。そのキャラクターが足を揃えて立っているますが、 幅広い上半身に狭いベースを与えることで、倒れないようにとバランスをとっているように見えます。 これが漫画ではなく、重さのある実物のボディービルダーだった場合、バランスを取るためには、まずベースを変える必要があります。具体的にはスタンスを横に広げて、両足を肩のちょうど下あたりに持ってくることで上半身に釣り合うようにベースが調整され、体全体のバランスをとることができます。 これがバランスを取るということです。体をバランスの取れた状態に戻すためには、体のどこかで調整することが必要になります。 私たちの足と膝がつかないで離れているとき、猫背にならずに肩と胴体が横に広がるようにできています。そうすることで、ベースとなる足元の上でバランスを損なうことなく腕を大きく動かすことができます。自然とバランスの取れたフレームはベーシックスタンス(基本の立ち姿勢)を用いることによって可能になります。人によっては、このベーシックスタンスに違和感を感じるかもしれません。あるいは、もうすでにこの姿勢が身についている人もいるでしょう。バランスを取るのに体の各部分を自然に使うことで、余計な力を入れずにできる真っ直ぐな姿勢、それがベーシックスタンスです。   あなた自身の自然な立ち方とは少し違うかもしれませんが、自身が楽に感じている姿勢があなた与えるメリット、デメリットは何かを理解するために、まずニュートラルについて説明します。それではまず、ベースの置き方がどのようにバランスに影響するのか、いくつかのエクササイズを行いながら考えていきます。 実際に体で体感できるように、まずはベーシックスタンスをとってください。ここでちょっと確認です。まず、動きやすい服を着ていますか?靴を履いていたら、脱ぎましょう。服や靴は、立ち方や動き方に大きな影響を与えます。そのことについては、後ほど話していきます。 では、足を肩幅に広げて、肩、腰、膝、足が縦に真っ直ぐになるようにして、つま先を正面に向けてください。繰り返しますが、肩、腰、膝を直線上に置き、つま先は正面を向けます。首や肩の力を抜いて、足が腰、膝と真っ直ぐになるようにし注意しながら10歩ほど歩いてみましょう。腕が足と一緒にどのように振れているかを気をつけてみてみてください。腕は肩の付け根から前後にゆれて、大体脚が動く幅と同じくらいに腕も動きます。 では、今度は両足を少し近づけて、スタンスを狭くしてみましょう。歩いてみると、さっきとは違って上半身が窮屈な感じで、腕の動きもぎこちない感じでしたか。足を広げず体が狭いスタンスをとるときは、胴体が釣り合いをとろうとします。とはいっても、狭いスタンスで、上半身が大きな動きをとれないかというとそうでもありません。脚や膝がほぼ合わさったような狭いスタンスをとっているときに、上半身に大きな動きを与えるためには、インナーマッスルや胴体周辺の筋肉を使わなければなりません。足と膝を合わせた狭いスタンスでは普通腕は胴体の側にあり、そうすることでバランスをとろうとするはずです。このような姿勢をとるときは、肩や背中を起点とするのではなく、自然と肘のあたりを使っていることがわかるでしょう。 この姿勢で、つま先を外に向けて歩いてみると、肩が広がりバランスをとろうと、手の平が上を向くように腕が動くことがわかります。もし、つま先を内側に向けて歩いたとしたら、肩は丸くなり、腕は身体の前を交差するようにふれているはずです。このように、裸足で、動きやすい服を身に付けているときに歩いた時の感覚を覚えておいてください。  …

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写し    1.5 プレーン    コミュニケーションにおいて、相手との距離感は色々な意味を持ちますが、それは二つの方法で変えることが出来ます。一つは上体を前かがみにする、あるいは後ろに反らすことです。後で詳しく説明しますが。これを「プレーンを越える」と言います。もう一つは自分のいる場所を前後に移すことです。これを「プレーンを変える」と言います。    では「プレーン」という言葉がどのような意味を持つのか定義づけを行いましょう。そのために、まず10人の人々が直線上に横向きに肩を並べた状態で、一列に立っている場面を想像してください。  次に、全員が回れ右をして縦方向に並んでいる場面を考えてみて下さい。肩を並べて並んだ最初の例では、それぞれが個別の空間に位置していますが、全ての人が同じプレーンに立っています。全員が縦向きで並んだ二番目の例では、人々はそれぞれ別々のプレーンに立っています。  横向きに一列に並んだグループの1人を一歩手前に動かして、残りの9人はそのままの場所に並ばせてみましょう。これを「プレーンを変える」といいます。つまり直線上から手前または奥へと移動する前後の動きです。  そして今度は、残りの9人の両端に立っている人を一歩後ろへ下げます。そうすると、始めは一列に並んでいた10人が三つの異なったプレーンに位置することになります。この三つの異なったプレーンは、あなたとの関係の近さの違いになります。    次に、あなたとの関係に影響するもう一つのタイプのプレーンを紹介しましょう。今度は自身を取り巻く個人空間を考えてください。立っている状態または座っている状態で背中を真っ直ぐにし、頭、肩、腰が一直線になるように姿勢を整えます。頭の先から胴体を通り、足元までつながる直線を思い描いて下さい。足を踏み出したり、座っている場合は動くことなく、上半身を前に傾けて下さい。そうすることで頭と胴体が体を通る線の片側に傾きます。これを「プレーンを越える」といいます。  体全体を動かすのではなく、上半身のみ前に傾けたり、後ろに反らせることでプレーンを行き来することができます。半歩踏み出したり、後ろへ下がったり、あるいはあごを上げたり下げたりするだけの単純な仕草でもプレーンを越えることができます。体がプレーンを行き来する度に、なんらかの情報や意味を伝えているのです。  机から立ち上がって窓に向かって歩いていく時、それはプレーンを変えていることになるのです。あるいは、政治家が演説台で拳をふって体を前のめりにしたり、また体をまっすぐに立てて自分自身の個人空間に戻るようなときも「プレーンを越えて」いるのです。     プレーンを前に移すと、私たちの態度や感情についてある情報を伝えることができます。スピーチや会話の内容によっては、話し相手やオーディエンスに近づくことは、自身の伝えたいことに熱意あるいは攻勢的な意味合いを持たせることができるのです。プレーンを前に移すことで、話し手と聞き手の間の物理的な距離を無くすことができるということを覚えておいてください。その距離を縮めたい場面はしばしばあることで、それは様々な方法で可能になります。  相手とよりよい関係を築き親密になるためには、共有できる空間を作ることが有効なので、そのために相手との距離を縮めようとします。しかし、誰もが経験したことのあるように、状況や関係によっては相手がプレーンを変えることで、脅迫感を感じたり、個人空間が侵されたように思うこともあるでしょう。このように不快感を感じる状況で、あなたはどのように反応するでしょう。不快に感じるその状況から抜け出すために、自然と体は後ろのめりになり、一歩引いたり、あるいはその場から離れるなどするはずです。    ここで以前にお話したラインフォーカス、つまり自分の意識や感情が外に向かう時の方向について思い出してください。私たちは、自身の第六感や本能的反応の源であるエモーショナルセンターを望まない刺激から守るために、ラインフォーカスを逸すということを覚えているでしょうか。  反射的にプレーンを変化させる場合についても同様に考えてみましょう。興味深い話を聞いたり、スポーツやライブのようなイベントに行って夢中になっている場合のことを考えてください。あなたの体はどんな反応をみせますか?講義を聞いているのであれば机から体を乗り出しているでしょうし、スポーツ観戦で延長戦に入ったときやホラー映画を観ている場合には椅子の手前に腰掛けるでしょう。体を前のめりにして会話を聞いたりすることもあります。あえてそうしなくても、話は十分に聞こえているのにです。こうした反応は自身が興味を示していることの表れです。   (スポンサー)    近所の飲み屋やレストランを覗いてみると、プレーンを使った複雑なコミュニケーションの一環を垣間見ることができます。プレーンとラインフォーカスの向けられ方を観察することによって、誰が誰に関心を抱いているのか、あるいは関心が全くないのか容易に判断できます。…

写し 10 ジェスチャーとアーティキュレーションと思考 

写し   10 ジェスチャーとアーティキュレーションと思考     まず始めにここまで私たちに付き合って下さった皆さんにお礼を述べたいと思います。すでに次のシーズンに向けて着々と準備を進めているだけでなく、その間にボーナスエピソードもお送りする予定です。 更に嬉しいことに、オリジナルのポッドキャストに新しくスペイン語、日本語講座が加わることになりました。これから半年のうちにどんどん公開していくので、どうぞお見逃しなく! そして、今までポッドキャストをお聞きいただき、情報を活用していただいた方は、是非iTuneポッドキャストにレビューを書き込んで下さい。みなさんの貴重なご意見、ご感想が今後のプログラムの発展に役立ちますので、どうぞよろしくお願いします。一個人の感想なんてと思われるかもしれませんが、本当に一人一人の声が大切なんです。 ポッドキャストを始めて間もないこの番組にとって、レビューはリスナーの基盤を広げるために必要不可欠ですから。では前もってお礼を言っておきます。ありがとうございます。是非レビューを書き込んで下さいね。     これまで様々なことを各エピソードに分けてお話してきましたが、発声とアーティキュレーションについて理解したところで、以前に紹介した、呼吸、ラインフォーカス、体の向き、空間の使い方、フレームとスタンスといった要素を合わせて、ようやく手や体を使って、どのようにより効果的なコミュニケーションを取ることができるか考えることができます。 もともとこのエピソードをもってシーズン1を終了する予定でしたが、ちょっと変更がありました。残り1話ですべての情報をお伝えすることはとても無理なので、2回に分けてお伝えすることにします。よって、第10話 「ジェスチャー」は、次回をもって完結することをご了承ください。   では、早速、これまでに学んだことと合わせて手がどのように働くかについてお話していきましょう。「手で何をしたらいいのか」の問いに答えるために、まず、手を孤立したコミュニケーションツールとして考えることをやめましょう。 みなさんは、これまでに、ぜひ実用したい手を使ったジェスチャーや、避けたい仕草についての議論や提案を見聞きしたことがあるでしょう。異文化コミュニケーションを経験するときに活用できる、異なる文化圏におけるジェスチャーの使い方や意味の違い、礼儀作法についても読んだり、聞いたことがあるかもしれません。そうした情報は重要ではありますが、それらは単なる習慣、慣例としての身振りや表現に過ぎません。 そのようなジェスチャーは、その動作に何らかの強い関わりがある、あるいはそれにこだわりを持っている人が使うのでなければ意味を持ちません。戦略的コミュニケーターとして注目したいのは、ジェスチャーをコミュニケーションとうまく結びつけ、ジェスチャーの持つ目的をしっかり把握することです。 コミュニケーションの中での手の動作は、体で起こっていることの延長線であり、より複雑なシステムの単なる一部に過ぎません。手を使って伝えたい内容を明確に表現できるようになるためには、コミュニケーションを構成するあらゆる要素それぞれをしっかり関連付けて使う必要があります。 ここでは、手と気持ち、呼吸、そして体がお互いにどう働きあっているのか考えなければならないのです。第1話から第9話まで基本的な考えをまとめてお伝えしてきました。それぞれの要素がジェスチャーとどう関係してくるのか明らかにするために、今一度思い出しながらお話していきます。     ジェスチャーには2つの種類があります。それは、自然に身についたものと意図的なものです。 自然な動きやジェスチャーは、声を出してコミュニケーションをする時に自然と生まれる、あるいは必然的に体が動くときに見られるものです。こうしたジェスチャーはとっさにおきるもので、日常的なコミュニケーションの中で無意識に取り入れているでしょう。自然なジェスチャーは、無意識のうちに使っているにも関わらず、 メッセージを効果的に伝える助けとなります。…

写し 2 呼吸と思考の関係

写し   2 呼吸と思考の関係     例えば、今朝のプレゼンのために、徹夜して準備をしたとしましょう。オフィスに行く途中で頭の中で何度も何度も練習しました。会議室へ入り準備は万端。さっと立ち上がり、さあ、これからが本番というとき、すべてが頭から抜けて、頭が真っ白に、、、息を吸おうとしても胸がいっぱいで、今朝洗面台の鏡の前で何度も練習したはずの言葉、どうしても出てこない。そして次第に自分がいかに滑稽で、どんなに恥ずかしい姿をさらしているかに頭がいってしまう。話したいことはわかっているはずなのに、自己否定的な考えにとらわれてしまう。 このような体験談を私は多くのクライアントから何度も聞いています。誰しもが経験したことのある失敗談でしょう。このような状況に陥った人の多くの場合、呼吸パターンと思考プロセスがうまく結びつかなかったことに原因があることを知っていたでしょうか。   前回、横隔膜呼吸を使ったコミュニケーション術についてお話しました。ここではさらに呼吸と思考の関係を考えながら話を進めていきます。呼吸と思考のつながりは、私たちがスピーチをする上で、どう文を区切り、言いたいことを伝えるか、逆に「えー」「あー」といったノイズを乱用することになってしまうのかということに直接関わってきます。 まず、呼吸と思考の相互関係をよりよく理解するために、声を出さずにパソコンや本を読んでいる自分、考えをまとめている自分を想像してみてください。今度は、講演で大勢の聴衆の中にいる自分、あるいは演劇や舞台の観客として耳をすましている自分を想像してみてください。 自分が誰かの話を聞いている場合にする呼吸法と、自分が話し手である場合の呼吸法には大きな違いがあります。私たちが聞き手であるときは、話し手の息づかいを感じています。さて、そのような呼吸が、思考とのつながりを失ってしまうことがあります。それは、考えていることを声に出す、まさに、その時です。これは、話し始めるその瞬間から、話し手は、その呼吸を普段の息づかいから、自分ではない誰かに思考伝達をするという複雑なプロセスを支える、話し手としての呼吸に切り替えなければならないからです。不思議ですね。 私たちが呼吸に気を留めないでいると、特に大勢の前で話すときには、イライラし、不安になり、足が地に着かないという状態を生み出します。聴衆を目の前にして、重要な時に、舌がまわらず、頭がごちゃごちゃしてしまうことを経験したことがあるのはあなた一人ではありません。   ラッキーなことに、呼吸を利用することによって、より力強く意識的で、明確なコミュニケーターになることができます。重要なポイントは、呼吸と思考は表裏一体ということです。 これがどのようなことかは、文中で句読点がどのように機能するかを考えると容易に理解できるはずです。新しい内容が出てくるときは大文字で始まり、文の最後はピリオドで終わります。そして、カンマやピリオドといった句読点や、その他の括弧や記号などは、間をおくところ、内容が異なる、あるいは注目すべき点が変化することを示すカギになります。私たちが文書を読むとき、そうした記号は文章の構成をわかりやすくするのに役立ち、内容の意味やニュアンスの捉え方に影響します。しかし、話し手が声に出して話すとき、聞き手は、こうした記号を使って情報の処理することによって話の内容をつかむというメリットを持っていません。ですから話し手は、文章中の句読点などに代わるテクニックを使って、情報の伝達をしなければならないのです。そして、そのテクニックが呼吸なのです。   実は、聴衆は話し手の息づかいを感じ、同じように呼吸をします。そして、話し手の息づかいは、話されている内容がどう受け止められるかに影響します。呼吸と思考は表裏一体です。 文章を書き始めるときは、大文字から始めるということを思い出してください。話し始めるときには、そのきっかけとして、横隔膜呼吸をします。喉を開き、横隔膜を下げるように空気を大きく取り込みます。この動作は聞き手に対して新しい情報が与えられることを知らせる役割を果たすとともに、自身の脳を活性化し、はっきりした声を出すために体を整えます。 聴衆は、私たちが息継ぎをしたり、新たな深い呼吸を取ったりすることで、話の終わりやもっと詳しい内容がつけ加わること、あるいは話が次の段階へ進むことを察することができるのです。するべきところで呼吸をすることは、明確にわかりやすく言いたいことを伝えるのに効果的な方法だといえます。   第1回のエピソード「呼吸の大切さ」の中で、切迫した状況下で声を出そうとするとき、熱意を持って話すときには、無意識のうちに横隔膜呼吸を用いる傾向があるということを覚えていますか。こうした場面では、呼吸と思考は自然とつながり、その瞬間信じられないほど、頭が冴え、自分の意図することが明確に表すことができるでしょう。しかし、どうしても伝えたいという想いが、常によい結果を生むとは限りません。それは、入念に準備する時間がなかったからかもしれません。あるいは、緊張のしすぎで、本来できるはずの、熱い想いと自信のままに話すことができなくなってしまうからかもしれません。不安定な乱れた呼吸は、よく考えられた、どんなよい内容のコミュニケーションであっても台無しにします。   では、準備不足、あるいは緊張しているこのような状況を乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか?「えー」、「あのー」などといった雑音のない、自信に溢れた理解しやすい話し方に即座に戻すにはどうすればよいのでしょう? それは、呼吸をして、神経を集中させるように頭を切り替えることです。まず、コミュニケーションをする上での全体的な目標を持つことを習慣づけるようにします。この目標を設定するとき、コミュニケーションをより豊かにすることを考えましょう。具体的には、「今日はこのことについて教えたい」…

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写し    1.3 ラインフォーカスとエモーショナルセンター      後の説明でおいおい理解してもらえると思いますが、ラインフォーカスとは、自分の意識や感情が外に向かう時の方向のことです。そしてエモーショナルセンターとは、無意識のうちに、自分の意識や感情を外に放出する、あるいは他人の意識、感情を感じる体の部分のことです。  それでは、最初に日常的なあるシーンを想像してみて下さい。  ちょっと質問があって、あなたが同僚のオフィスにいってみると、ドアがちょうどよく開いている。軽くノックをして、顔を覗かせる。 「今ちょっといいかな?」と声をかけた。部屋の奥に横向きに置かれた机で仕事をしている同僚が、コンピューター画面から目を離して、あなたの顔を確認する。「どうぞ入って。どうしたんだい?」と言いつつも、同僚の体は、コンピューターに向いたまま。「どうぞ、入って」と言われたので部屋に入ったが、同僚はその言葉とは裏腹に、あなたの用件にきちんと対応できる余裕はないように思える。  どうしてでしょうか?ここではいったい何が起きているのでしょう?   今回のテーマは、ラインフォーカスとエモーショナルセンターです。私たちが人と対話をするとき、言葉で表現されることはその一部に過ぎません。コミュニケーションをする上で言葉ではない別の働きによって、重要な情報がやり取りされています。あまり意識してしないかもしれませんが、体は常にコミュニケーションに強く関わる部分を働かせているのです。  ちょっと、あなたの胴体を想像してみてください。そして左右の腰骨をつなぐように直線を引き、さらに肩の先と先を結ぶようにそこにも線を描きます。それから、胴体を囲む四角を描くように、今引いた肩のラインの端から直角になるように、腰骨へ向かって線を引きます。 さて、胴体を囲むような箱が描けたでしょうか。その箱の中に、おへそから7センチ下がったあたりに的を置きます。そのエリアは、対人コミュニケーションの中で、自分自身あるいは話し相手の意識を集める最も重要な場所です。私たちの胴体は、ラインフォーカス、つまり自分の意識や感情が外に向かう時の方向をコントロールしているのです。   では、その箱の中心から体の前に突き出る矢を想像してください。 その矢は、あなたが体の向きを変えると同時に、体と同じ方向に向きます。その向きがラインフォーカスを示しています。そして意識はその両端を行き来しているのです。その体の部分が、コミュニケーションの中でお互いの意識のやり取りや、相手の意識を引きつける役割を果たしています。      さて、ここで先ほどおへその下に描いた的を思い出してみましょう。この部分は多くの武道、伝統芸能、伝統的な医学において重要視され、多くの名前で呼ばれています。気の中心、サンスクリット語でいうとチャクラ、あるいは体の奥から生まれる感覚、いわゆる第六感の源ともいわれています。しかしここでは、エモーショナルセンターと呼んでいきます。  それでは、私たちのエモーショナルセンターが大きく関わるよくある状況について少し考えてみましょう。例えば、間一髪で交通事故を免れたとき、あるいはホラー映画を観てドキッとしたとき、風船が割れてビックリしたときなど考えてください。このような時は、最初に反射的にお腹の中にあるエモーショナルセンターが反応して、ほんの一瞬後に脳が何が起きたのか判断していきます。実際にあなたが意識しているか否かに関わらず、体のこの部分では情報、特に外部からの刺激を感知し、脳で情報を処理する前に体そのままの反応を発信するのに重要な役割を果たしています。    それでは、エモーショナルセンターを実際にコミュニケーションの中でどう使っていくのか、ラインフォーカスとの関係を考えながら説明していきましょう。  私たちは感情によって自然とラインフォーカス変えています。好意を抱いている相手に対する体の向きやラインフォーカスの方向を考えてみてください。友人が話の輪に加わるとき、自然と体はその友人の方へ向き、その存在を認識し、自身の注意を相手に向けるはずです。これは「ラインフォーカスを向けている」状態です。  逆に、興味がない場合は、体を逸らす傾向があります。体を正面に向けていないのは、注意を向けていないことの表れなのです。知らない人が近づいてきたときや、嫌な思いをしたとき、あるいは自分の存在に気づかれたくない時について考えてみてください。そういう時は、相手やその物から体を逸らして、自身の意識がそこにないことを表します。これは「ラインフォーカスを否定している」状態です。  ラインフォーカスはコミュニケーションの中の話し手と聞き手両方に影響します。あなたが相手から体を背けるときは、自分自身が相手を十分に意識していないことを示すのと同時に、相手の意識を100%受け止めていないことを示唆しているのです。ラインフォーカスは常に双方向に働いていて、自身の意識を向けること、相手の意識を受け止めることの両方の役割を果たします。…

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